今回は社労士事務所で働いた経験について話しをしたいと思います。
筆者は新卒で社労士事務所に勤務をして通算で2年半ほどこの業界に在籍しました。
その中で経験した事を全て正直に記述致します。
給料の内容やブラックだったか・将来性があるかについても触れています。
基本的にポジティブな内容ではないので、ご了承ください。
社労士事務所の業務内容とは
社労士の独占業務である労働法諸関係の手続きの代行
要するに雇用保険・社会保険の入退社や労災・健康保険の傷病手当金の申請を顧問契約先の企業に代わって手続きを行います。
顧問先の中では助成金を利用したいと考える会社もありますので、助成金の申請代行はもちろん、申請書類に必要な出勤簿・賃金台帳・労働者名簿等の整備も行っております。
労基署の調査が入った時の立ち合いや就業規則の作成・改定・届け出等、業務は多岐にわたります
社労士の独占業務以外でも、付帯する業務として給与計算や勤怠管理システムの導入等もやっていました。
ここから先は社労士業界で働いてみた感想を正直に書いていきます。
社労士業界で働いた感想
低賃金
もうこれに尽きると思います。
社労士事務所の事務員として勤務する場合は低賃金は覚悟の上でやってください。
低賃金の理由は社労士事務所の規模自体が零細企業である事が多いのと、単価の低い仕事が多いため給料が上がりにくい構造になっています。
基本給18万に手当入れて総支給で20万円超えるかどうか。
各種税金を差し引いたら手取り15万円切るなんて事もザラです。
これでもマシな方で地方になるともっと安いです。
賞与がある事務所も感覚的には3割以下だと思います。
出たとしても寸志が良いところ。
お金よりもこの仕事が好きだからやりたいという人でないと勤まらない仕事だと思います。
社労士の資格のコスパが良いとは言えない
社労士の資格は国家資格で一生モノの資格になりますが、勉強時間の目安は優に1000時間を超え、1年勉強したくらいではまず合格できないくらいの難易度です。
仮に資格を取って社労士事務所に入社したとしても、事務所の1プレイヤーだと精々月給25万円くらいなものです。
25万円なら資格がなくても十分に稼げる金額なので、これだけ見ていると社労士という資格の必要性が低いです。
社労士で高収入を上げられる方はもちろんいますが、それは自分で独立して営業ができて初めて実現できる事になります。
なので資格だけとっても営業力のない人は一生稼げないです。
社労士の知名度がまだまだ低い。
仕事柄、他の士業の先生方と携わる事がよくありますが、社労士は下に見られがちです。
弁護士や税理士を知っている一般人はたくさんいますが、社労士を知っている一般人は10人に2~3人くらいではないでしょうか。
総務・人事の仕事をしている人じゃないと中々知らないと思います。
もう一つ社労士資格を活かした高収入の方法は企業内で社労士資格を活かす方法があります。
企業の人事・採用担当等の総務担当者としていれば、社労士は非常に活きてくる資格となってきます。
顧問先のコンプライアンスが低い場合が良くある。
会社次第にはなりますが、世の中の99%は中小企業なので、取引先がまだまだ未成熟な企業である事がよくあります。
社長自身が現場に出ていてメールをしても1ヵ月返事が返ってこない事もザラにあります。
助成金の締め切りが迫っていて必要な書類の用意をお願いしても一向に用意してもらえず、期日だけが迫っていざ締め切りが過ぎてしまったら逸失利益を請求されてしまうという理不尽な経験もありました。
そもそも労基法を知らない経営者も多く、顧問先の会社の雇用契約書を確認すると定年50歳と書いてあったり、就業場所や従事する業務等記載するべき項目がないなどは日常茶飯事です。
なのでそういった方々にあるべき姿を教えつつ、スケジュールもコントロールしないといけないという非常に骨が折れる仕事です。
営業をかけてせっかく顧問契約を締結しても社長が夜逃げして会社自体がなくなる事もあります。
筆者自身がその経験を数回しました。
残業が多い
業務が多岐にわたるのもありますが、基本的にお役所相手に仕事をする事が多いのでアナログ気質な役所のためにわざわざ紙で出力し、封入・発送等の前時代的な業務が多いです。
最近はようやく電子申請も増えてきましたが、まだまだデジタル化には程通い状況なのでローテクで時間がかかる業務が多いのです。
社労士業界自体が働き方改革できていませんね・・・。
特に入退社の時期である3月・4月や労働保険の年度更新・社会保険の算定基礎届がある6月、年末調整と給与支払報告書の作成が必要な12月・1月は猛烈に忙しいです。
その割に低賃金なため、残業しても残業代が稼げません。
月給者が残業代を計算する時は固定給を月の労働時間で割って時給単価を出しますが、大体は最低賃金ギリギリで基本給等が設定されているため残業代の算定基礎になる数字自体が低いです。
別途残業代が出るならまだ良いですが、給料を高く見せるために固定残業代が支給されている事務所もあります。
そのような事務所は残業ありきで設定しているので、キッチリ定時で帰りたい人には向いていません。
顧問先が様々な業種のため色々な方と携われる経験ができる
マイナスに思う点ばかりを書いてきましたがもちろん良かった点もあります。
顧問先が飲食・介護・医療・IT・製造等様々な企業があり、窓口が社長の場合も良くあるので色々な方と携われる経験ができたのは良かったです。
仲良くなれば食事に連れていっていただけたりもするので交友を広めたい方にはオススメです。
他の士業の方々とも仲良くなれるので、ただ会社員をやっているだけでは会う機会がないような人とも知り合えます。
今後は業務の幅が狭くなり、変わっていくと思う
最近は電子申請の他にsmarthrといった従業員自ら入力をして入退社の手続きや年末調整ができてしまうシステムができてきているので、手続きの代行業務自体は減っていくと思います。
一方で法改正は毎年のようにあるので、就業規則の作成・改訂のニーズはかなり増えてくるという印象です。
なので手続きをひたすらやりたい方よりかは色々アグレッシブに取り組んでいける方の方が今後社労士事務所で働くにはやっていけると思います。
よく打ち合わせで使っていたデジタルメモ帳です。
低消費電力ですぐ開けるのでとても使いやすかったです。
総評
今回は社労士事務所に勤めた経験を紹介しました。
正直に申し上げるとオススメできる業界ではありませんが、それでも働いてみたいと思う方は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
個人的には社労士を取って会社の勤務社労士になる方が良いかと思っています。
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